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取引先が倒産した場合の債権回収はどうなる?

2023/1/5

取引先の倒産

取引先が倒産した場合、全額の債権回収を行うことは困難な場合が多いです。そのため、少しでも債権回収できるようにするための手段を取ることが大切です。取引先が倒産した場合に取りうる手段としては相殺、商品の引き上げ、担保権の利用などが考えられます。

 

取引先が自社に対して貸金を有している場合

取引先が自社に対して貸金を有している場合、自社が取引先に有していた貸金債権と相殺することで債権を回収することができます。もっとも、この場合破産管財人によって債権回収行為が否認されてしまう恐れもありますので、相殺ができるか否かについては債権回収に特化した専門家にご相談されることをお勧めします。

 

売掛債権を回収したい場合

自社製品を引き渡し、売掛債権を回収したい場合は自社製品の引き上げを行うことで債権の一部回収が可能となります。しかし、この場合には取引先の意思に反して無理矢理商品を引き上げる行為は窃盗罪となり刑事上の罪に問われる恐れがあります。

ですので、商品の引き上げを行う場合には取引先の同意を得た上で適切に引き上げることが無難です。

 

担保権の利用として考えられるものは抵当権や質権、特別先取特権の利用が考えられます。抵当権や質権は債権回収に備えて事前に取引先に設定してもらうことが必要です。抵当権や質権が設定されていれば取引先の破産手続きが開始したとしても原則的に影響を受けずに優先配当を受けることができます。また、特別先取特権と呼ばれる権利も抵当権と同様に他の債権者に先立って優先配当を受けることができますし、破産手続きによって影響を受けません。例えば、動産の売買によって得た債権は動産先取特権などが特別先取特権と呼ばれます。

取引先に有していた債権が破産開始によって影響を受けずに優先配当を受けることができる債権であることは少なくありません。

ですので、有している債権がいかなる債権に該当するのかについて把握しておくことが大切です。

 

もっとも、取引先が倒産する前に債権回収手段を確保しておくことで債権回収不能を予防しておくことが会社の損失を防止する対策として効果的です。

具体的には、契約書の作成を行うことで自社が債権を有していることの証拠を残し、取引先の資力を確保するために先に述べた抵当権等の担保権の設定を行うことや保証人を立てるなど、取引先以外から債権回収を行うことができる手段を有しておくことが大切です。

 

取引先が倒産した場合に、債権回収が可能か否かは貸金を有する会社によって重大な関心事です。債権回収が困難となる恐れがある場合、債権回収が不能となってしまった場合には債権回収に強みを持つ弁護士などの専門家に相談し、少しでも債権回収ができるようにとり得る手段について助言を受けることが迅速に債権回収を可能とする一つの手段です。

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